当院は2022年10月開業以来、皆様のおかげで沖縄県全域から2500人以上の児童に受診してもらい、継続的に受診される方も多くいらっしゃいます。診断書の依頼もどんどん増えております。当院のポリシーは、「低年齢の児童をより早くみる」ことで、初診の電話申し込みから初診までの間を平均1か月にすることを目標としています。2025年の夏は新患申し込みが多く、初診対象患者の上限が5歳になった時期がありました。
一方で、行政、特に障がい福祉にかかわる複数の自治体の公務員から、「医療機関は保護者に頼まれて、大して診察もせずに診断書を書いている」などと、異口同音に言われます。当院では、医学的な意見を述べるためには、こどもと保護者に複数回来院していただき、医師と心理士が短くても1時間~1時間半以上は診察評価することが普通です。また、教育委員会、特に沖縄市は典型ですが、学校で行うあらゆる支援のために診断書を要求するものの、医療機関とのやりとりは拒否しています。行政がこのような姿勢で、さらに締め切りが過ぎたら支援が始まるのは1年後、などと迫るからこそ、保護者もとにかく早く診断書を書いてもらいたいと医療機関に依頼せざるを得なくなるのでしょう。以上から、医学的に段階を踏んで書いた診断書意見書を読む側が質の違いを認識できないなら、素早く医療にアクセスできることで、かえって、行政が医療をないがしろにする姿勢を助長させると考えました。
そこで、2026年3月から当院では、初診に「地域枠」を設定し、初診の対象上限をはじめから全市町村4歳児クラス(2025年度は2020年4月2日~2021年4月1日生まれ、 2026年度は2021年4月2日~2022年4月1日生まれ)までとし、「地域枠」がある自治体は5歳児クラス以上~小学5年生も受け入れることにします。
すでに当院受診中のお子さんの診療は継続していく予定ですので、ご心配は不要です。
地域枠の設定基準としては、行政として医療機関との対話の姿勢があるか、(自治体独自の)診断書の要求度合い、その自治体からの受診数などをもとに設定します。たとえば、2025年度に中部圏域と一部の南部圏域の自治体に特別支援教育や通所受給者証の申請手続きついてのアンケートを送りましたが、回答がなかった市町村は、対話の意思がないのだとみなしました。
今後、当院や他医療機関と、行政側の対話などによって、枠の見直しを適宜行ってまいります。
地域枠のある自治体:うるま市、金武町、宜野座村、東村、国頭村、大宜見村、今帰仁村、本部町、名護市、読谷村、嘉手納町、北谷町、宜野湾市、那覇市、豊見城市、糸満市、八重瀬町、南城市、与那原町、南風原町、西原町、中城村、沖縄市、沖縄本島以外の離島自治体
県外や国外にお住まいの方が沖縄の移住先が決まる前にお問い合わせいただくこともあり、その際は地域枠の例外として、お申込みを受け付けております。
地域枠のない自治体:北中城村、恩納村、浦添市
以下に、地域枠の設定がない理由を記します。当該自治体にも理由は直接通知しています。
北中城村:
当院から送った特別支援教育申請に関しての質問に、教育委員会からの回答がありませんでした。また、うるま市障がい福祉課の担当者の説明によると、令和8年度4月から、うるま市と示し合わせて、放課後等デイサービスなどに通うための通所受給者証の支給日数を見直す基準を作ったとききました。内容をみると、医療機関が行った評価や専門的意見が反映される余地がないようです。担当部署が、療育がもたらすこどもへの効果や保護者の心理的・経済的負担を理解せず、あえて切り捨てるとは、虐待のリスクをあげています。北中城村周囲には、当院同様、あるいはそれ以上の専門的な医療機関が多くあります。
恩納村:
当院から送った特別支援教育申請に関しての質問に、教育委員会からの回答がありませんでした。教育委員会は診断書を不要としている、と伝えききましたが、当院の外来の保護者は、特別支援クラスに入るために診断書をもらうように依頼され、診断書をお渡しできる日が翌週だとわかっていたにもかかわらず、期限に間に合わないから、と口頭で診断をきくためにわざわざ2週連続で受診させられていました。また、また、うるま市障がい福祉課の担当者の説明によると、令和8年度4月から、うるま市と示し合わせて、放課後等デイサービスなどに通うための通所受給者証の支給日数を見直す基準を作ったとききました。内容をみると、医療機関が行った評価や専門的意見が反映される余地がないようです。担当部署が、療育がもたらすこどもへの効果や保護者の心理的・経済的負担を理解せず、あえて切り捨てるとは、虐待のリスクをあげています。専門的に評価して作成した意見書が有効に扱われないのであれば、受診は当院でなくてもよいだろうと考えます。
浦添市:
当院から送った特別支援教育申請に関する質問に、教育委員会からの回答がありませんでした。また、障がい福祉課からの回答では、「療育の目的を理解しておらず、(中略)預かり目的で申請するために診断書を書いてほしいと医療機関を受診する保護者がいるのでは」とお答えになられていますが、そもそも自分たちが診断書を要求しているのに、どうして保護者や医療機関が悪いという見方をできるのでしょうか。こどもに診断がつくということを軽く考えている保護者はほとんどいません。また、医療機関が保護者に言われるがままに、軽々しく診断書を書いているのだと考えているようで、2025年1月にうるま市の障害福祉課の主任・係長と話した時も同じことを話していました。当院では、診断を確定するのに、医師と心理士がそれぞれ、1時間半以上費やし、こどもと保護者も2,3回通院することが普通です。市民が時間や労力を費やし、国家資格をもつ専門家が世界的な診断基準にもとづいて診断書を書いているということが、見えていないのでしょうか。